MR.BIGオリジナルメンバーでの新譜「WHAT iF…」

待ちに待ったアルバムがようやくリリースされた。
amazonさんで1ヶ月前から予約していたこのアルバム、
DVD付きの限定版が15日に手元に届いた。いそいそと聴いた
ファーストインプレッションをちょいと残しておこうと思ってのエントリーでやんす。

やってくれました!

彼らのセカンドアルバム以降のキャッチーなメロディーラインを全面に押し出した
楽曲が好みのファンには「?」って部分が少しあるかも知れないけど、
元々の彼らはガッツリなハードロックバンド。
そういう意味ではファーストアルバムに一番近いイメージで、なおかつ、
ポール・ギルバート脱退後のリッチー・コッツェン在籍時の骨太なブルージーロックの
テイストを踏襲、進化させたような印象を受けた。

そして一番強く感じたのは「やっぱりこのバンドのギタリストはポール・ギルバートだ」ってこと。
リッチーも相当なテクニシャンでブルージーなテイストを持った凄腕ギタリストには
間違いないんだけど、なんだろう、このバンドのポテンシャルには、ポールのような
良い意味で予期せぬトリッキーなフレーズやライン、リフなんかが無造作に飛び出して
来るようなセンスが必要なんだろうなぁみたいな感じ。
それぞれが既に相応の経歴を持ち合わせたメンバーの集まりなので、上手いのは
当たり前なんだけど、テクニックではないセンスの部分でポールは実に素晴らしい。
ものすごいグルーヴ感をぐいぐい出してくるリズムセクションに、ポールのような
タイプのギターがポイントポイントで華を添えるように生きてくる。
で、そんなギターワークが手数が多いビリーのベースラインをさらに生き生きと
させているようなそんな印象。
もちろんポールの真骨頂である高速もとい「光速」弾きたおしギターも、ソロパートでは
存分に「弾きたおして」ますです(笑)。

ビリー・シーンのベースも進化している。これまで同様手数が多いのは変わらない(笑)。
それが彼が作り上げたスタイルなので、全然OKなんだけど、無駄な手数が減った感じ。
ラインが実に楽曲にマッチしていて「ちょっと出しゃばり過ぎじゃない?」っていう
これまでの感じがあまり感じられなかった。パットのドラムとのリフレインも多くて
グイグイモコモコ動き回るベースラインがしっくり馴染んで届いた。
そしてもちろんポールとのトリッキーな掛け合いも健在で、楽曲に1度で2度おいしい的な
フレーバーを持たせているから、もうたまりません!です。

パット・トーピーのドラムが、今回のプロデューサーの特徴でもあるんだろうけど、
これまでで一番ヘヴィで無骨な印象さえ感じる音に仕上がっていて、これがまたバンド全体の
サウンドをしっかりハードロックにまとめあげているんじゃないかな。
パットも小手先の細かなプレイが多くて手数が多いんだけど、それだけにこれまでは
「ハードロック」というよりか、時として「モダンポップロック」っぽく響いてたのが
どっしりと落ち着いた感じ。ビリーのベースとの高速でのユニゾンプレイも健在で
リズムセクションも十分聴かせてくれる。

バックの3ピースだけでも聴き応え十分なところへ持ってきて、その上を縦横無尽に
ソリッドな独特のスモーキーハスキーヴォイスでエリック・マーティンが歌いたおす、
これぞまさにMR.BIGの醍醐味ってところだよねぇ~。
MR.Vocalistシリーズや、EricMartinBand、はたまたTMGなんかでのエリックも
それはそれで聴かせてくれるんだけど、やっぱり彼はこのテンションと音域で
エッジを利かせてるのが一番好き。もう間違いなく最高のヴォーカリストのひとり。

楽曲的には、キャッチーでキレイなメロディーが目立つセカンドやサードアルバムと
比べると一見地味な印象を受ける。が、そこはそれ、4人ともに経験豊富で実力派の
ソングライター・コンポーザーの彼らが作り上げる楽曲なので、実によく練られていて
隙のない仕上がりになっている。アレンジも相当に手が込んでいて、かなり4人での
ディスカッションがあったんじゃないかと窺わせる濃密な仕上がり。
今は一度ざっと聴いただけなんだけど、このアルバム・楽曲は、たぶん聞き込むほどに
特濃牛乳のようなぎゅっと詰まった味わいを感じさせてくれそうであります。

いろいろと確執があって、再結成はまずないだろう・・・と言われていた彼らが
こうしてオリジナルメンバーで、フルオリジナルのスタジオアルバムをリリースして
くれただけでもうれしいことなのに、その内容がまた予想以上の仕上がりで超満足。
DVDの中でポールがすごく生き生きと楽しそうな顔で口にしていた
「このバンドでしかできないコーラスワーク」って言葉がなんだかホントに
この4人がまたひとつになってやってんだなぁ~というのをしみじみと感じて
ほっこりうれしく感じた。
そう!このバンドは4人が全員「歌える」コーラスも大きな魅力で、今回のアルバムも
その実力を十分に発揮してくれていますです。

1曲目の「Undertow」からガッツリとヘヴィなハードパンチが飛んで来るこのアルバム、
2曲目の「American Beauty」へと流れて行くところで、どっぶりとMR.BIGの世界へ
吸い込まれて行く感じ。
1曲目は初期3枚のアルバムのようにハイスピードで疾走する楽曲が良かった、って言う
声も聞くけど、いえいえ、この「Undertow」は十分に今現在の円熟味を増した彼らの
「スゴミ」が伝わってきて鳥肌モンだと思いますです。

Welcome back,MR.BIG! You made it. Just awesome!

BON JOVI の新譜が発売

今や押しも押されもせぬ世界的なNO.1ロックンロールバンド「BON JOVI」。
彼らのニューアルバムが発売されるということで早速amazonで予約を完了。

産業ロックだとかなんだとか、とかく売れるとそれなりに批判も多くなるのがこの業界の常だけど、
彼らはデビュー当時から聞いているバンドで、実はそれなりにマイナスの感情から聴き出した
にもかかわらず彼らの音楽性にすっかり魅了されてしまっているファンのひとりです(笑)。

彼らがデビューした1984年前後というのは、空前のハードロック・へヴィメタルブームの時期で、
特にアメリカの西海岸出身バンドがもてはやされて、俗に言う「L.A.メタル」が最盛期を迎えようか、という時期。
当時の音楽の、それもこの系統のハードロック(ハードロックが音楽のメインストリームになってたのも事実)を
思い出してみると、まぁ、ヴァン・ヘイレンはジャンルとかに左右されない別格としても、この頃に一気にメジャーに
なったのがまずは「クワイエット・ライオット」。ランディー・ローズという未完の大器的な伝説の
ギターリスト(当時はオジーオズボーンバンドで名が売れたんだけど)を擁したバンドのトリビュートということで
「カモン・フィール・ザ・ノイズ」のカバー曲がブレイクして一気にメジャーバンドになった。
このクワイエット・ライオットのヴォーカルだったケヴィン・ダブロウが、つい先日薬物関係で亡くなったという
ニュースも個人的には結構ショッキングだったんだけどね。
その後、「ナイト・レンジャー」「モトリー・クルー」「ラット」などがどんどん続いて、この勢いを読み間違えた
各レーベルによる、いわゆる「バンドの青田買い」が一気に進んで、この系統のバンドが百花繚乱のごとく
デビューしまくる、という時期。

そんな中で、当時は西海岸出身バンドが一斉を風靡していたんだけど、BON JOVI は東海岸出身の
バンドとしてデビューした。
しかも当時の「L.A.メタル=ギターサウンド」という構図も意に介さず、キーボードの強烈なリフが特徴的な
名曲「Runaway」で鮮烈なデビューを果たしたバンド。

実はデビュー当時に彼らのCDを買って聴いたんだけど、「このキーボードリフがメインはありえんだろ」とか、
「このヴォーカルの声質はラットのステーヴン・パーシーと一緒で、拡張性はないぞ」みたいな感覚で、
どちらかといえばマイナスのイメージを強く持って聴いていた思い出があるんです。はい。

ところがどっこい(笑)、今や世界中で押しも押されもせぬスーパーバンドになってしまいました(^^;
ある意味先見の明がなかったというか(笑)
でも、彼らの人気が確定的になったのは日本が最初ということは今でも有名な逸話なので、
当時彼らの音源をしっかり購入したこと自体が、彼らの成功に少なからず寄与したのではないか…と
今や大ファンのひとりとして、ひそやかな自慢の種になっているのも正直事実です(笑)。

彼ら(Bon Jovi)のすごいところは、ソングライティングが優れているところに尽きると思う。
もちろんプロモーション力やマネージメント力によるところは多大で、だからこそ、産業ロックだとかの
批判を受ける結果になっているんだろうとは思うけど、彼らの楽曲を純粋に聴いてみると、
ホントに素晴らしい楽曲が並んでいる。
有名どころでは、デズモンド・チャイルドとか、外部のメジャーなコンポーザーと共作、という形を
これまでもずーっととり続けているけど、根本の部分で彼らの音楽性は変わっていなくて
それがこれだけ長きに渡って常に優れた楽曲を生み出している根源だと思う。

とかく、ヴォーカリストのジョン・ボンジョヴィと、ソロでアルバムも出したギターリストの
リッチー・サンボラが取り上げられることが多いバンドだけど、実はこの二人以外の
メンバーもめちゃくちゃすごい。
ティコ・トーレスのトラミングは、そのひとつひとつの音をしっかり聴かせるというドラミングで
もう文句なしだし、デビュー当時はその楽曲の屋台骨を一身に
担当していたデヴィット・ブライアンのキーボードもめちゃくちゃうまい。
特にアレンジャーとしてのセンスはアルバムを出すごとに光っている。

で、今回の新しいアルバムが出るにあたって、唯一の不満材料は、オリジナルメンバーの
ベーシスト、アレック・ジョン・サッチがいないこと。

彼のベースラインはほんとにロックンロールバンドのツボを押さえた、心地よいベースを
弾き続けていただけに、彼がいない「ボン・ジョヴィ」はなんだかちょっと寂しい。
ベースラインという地味な部分ではあるので、そこはセッションミュージシでも無難には
こなすことだろう・・・というか楽曲の良否を大きく損ねることはないんだろうとは思うけど、
あのアレック・ジョン・サッチのような、聴く人間には「おーっ、こんなラインで来るか」みたいな
玄人受けするベースプレイは望めないのかなぁとちょっと不満でもある。
まぁ、アルバムがまだリリースされたわけではないので、実際誰がベースを担当してて
とんなラインを弾いてくれるのか、聴いてみないとわからないんだけどね。

とにかく当時からのファンとしては、彼らの新譜は楽しみで楽しみでしょうがない。
はやく聴いてみたいなぁ・・・。

[これまでのハードロック系のエントリー]
MR. BIG やっぱり最高のロックバンド

ライブバンドとしては、BON JOVI よりも MR. BIG の方が好きです。やっぱり(笑)。

MR. BIG やっぱり最高のロックバンド

ずーっと楽しみにしていた武道館ライブのDVD、昨日ようやく鑑賞できた。
もうホントにこのバンドは90年代の最高のロックバンドのひとつだと断言できます。はい。

バック・トゥ・武道館 [DVD]

やっぱりオリジナルメンバーが最強・最高。

ヴォーカルのエリック・マーティンは独特のスモーキーハスキーボイスが若干ウェットな
感じになっていて年齢を感じさせるけど、まだまだ魅力いっぱいのホントに良い声を
しているし、なんといってもオーティス・レディング系のソウルフルな節回しというか、
聴き応えのある歌い方は健在。この手のハードロック系のヴォーカリストはレコーディングで
かなりギリギリのところまで張り上げてることがほとんどなので、ライブになるとどうしても
粗が目立つことが多いんだけど、彼はそういう意味ではコンスタントで「はずれ」が少ない。
ホントにこの系統の業界ではまれな「上手」なシンガーだと思う。

パット・トーピーもトリッキーなドラミングと、以前から定評のコーラスワークが健在。
彼のドラミングって、手数が多くて、しかもとても器用でバリエーション豊かなパターンを
たたき出すんだけど、基本的な部分でリンゴ・スターのような、ここはこう来るだろう
っていう、なんていうか聴いてる側の予想を良い意味で裏切らないシンプルさも
あわせ持ったドラミングで、それがたぶん何となく心地よいドラミングに聴こえるんだと思う。
最も好きなロックンロールドラマーの一人。

ビリー・シーンのベースと全体を見渡したサウンドコンポーザー的な役割も
より一層磨きがかかっていて、さらに今回驚いたのは歌が上手くなってた(笑)。
彼のベースプレイには賛否がかなり分かれるんだけど、あれだけスタイルを完全に
確立してしまったら、あれはあれで他の誰にもそう簡単にはまねできないレベルなので
(コピーは簡単だけど、あの発想が、というレベルでのお話です)完全に独自の
世界を作り上げたっていう部分ではやっぱりすごいなぁと思いますです。

そしてそしてこのバンドのサウンドを支えるポール・ギルバート。
彼のギターワークはホントにすばらしい。ライブだとその実力が如実に出るなぁ。
MR. BIG 結成当時はレーサーX時代のイメージがかなり強くて、「単なる」
速弾きだけが得意な、1小節におたまじゃくしをどれだけ入れ込めるかだけを
目指しているギタリストなのかなという印象が強かったんだけど、何だかMR. BIGで
一気に音楽的なコンポーザーやプロデューサー、ディレクター的な才能を開花させた
ような印象でレーサーX時代からは考えられないようなセンスの良い楽曲作りももちろん、
ギターのプレイもすごく幅のある奥行きを感じさせる。あくまでも個人的な感覚だけど、
ポール・ギルバートがMR. BIGに参加したことで最も成長したミュージシャンなんじゃ
ないかなって感じている。

個人的には、エリック・マーティンの大ファンなんだけど、このバンドに関しては
全員がホントにすばらしい。ナミダが出るくらい最高。

全米ビルボートチャートのNO.1ソングを有するバンドにもかかわらず、その評価は
日本でのほうが圧倒的に高い「MR. BIG」。
というか、欧米の大雑把な方々にはなかなかうけない玄人好みのバンドなのかなぁ。
日本だけでなく、アジアの要するに大雑把でない繊細な人種の諸国では絶大な
人気を誇っている。
それはメンバーたちも十分に理解しているので、アジア、特にジャパンツアーは
相当な気合を入れてきてくれるだけにさらに良いパフォーマンスを堪能できるという、
まぁ、ある意味欧米の方々はこのバンドを永遠に認めないでください、
と言いたいくらい、日本でのプロモーションやライブをメンバーたちもかなり重要視して
くれている現状は、日本のハードロック系ファンにはとても有難いことだと思います。

いやー、ホント文句なくすばらしいパフォーマンスでした。
今回再結成で、それなりに余裕があったことがさらにパフォーマンスに良い意味で
「奥行き」を与えていて、ファンにはもう何ともたまらない魅力いっぱいのライブです。

断言します。「MR. BIG やっぱり最高のロックバンド」です。間違いないです。はい。